私の場合、ホームヘルパーの仕事を通して、辛いと感じたことはありませんでした。ただ、経験を積むごとに、多くの壁にぶつかり、そのたびに悩み、乗り越えてきました。そこで、私が、乗り越えてきた壁について、参考までにお話ししたいと思います。
ホームヘルパーの資格を取得してから、時間がかなり経過しており、実務経験のない私は、「デイサービス」勤務の初日は、頭の中が真っ白になり、何をどうしてよいかわからず、スタッフに迷惑をかけてしまったようで、申し訳なく感じていました。ホームヘルパーの講習や実技で受けてきたことを生かさなくてはと焦れば焦るほど、思うようにならず、悩んだものです。
これが初めての壁でした。先輩ヘルパーからアドバイスを受け、習うより慣れること……、見よう見まねでもいいから失敗を恐れず実践していくことを勧められました。月日がたち、失敗しながらも、実践し経験を積み重ねていくうちに、机上の学びだけでは通用しないことの多さに気づかされました。
「デイサービス」の勤務で、一番大変だったのが、利用者の名前と顔を一致させることでした。「デイサービス」は、毎日50~60名の方が訪れます。毎日、同じ利用者ならば早く覚えられるかもしれません。しかし、毎日、利用者が異なるので、5日間分の利用者300名ほどの名前を覚えなくてはならなかったのです。
食事のお盆は利用者の名前別になっているため、名前と顔が一致しなくては、その利用者のテーブルに持っていくことができません。モタモタしている私は、ほかのスタッフが、てきぱきと働く姿を見守ることしかできませんでした。利用者の方々は、私の名前を気軽に呼んでくれて、一緒にお話をしたり、折り紙を折ったり、カラオケをしたりするのですが、当の私は「はて?この方の名前は?」といった状況で、さすがに情けなくなりました。
スタッフから、「私も、覚えるのに2週間くらいかかったから大丈夫」と励まされたものの、2週間経過しても、3分の2ほどの名前しか覚えられませんでした。どうすれば早く覚えることができるんだろう?と試行錯誤していたところ、スタッフの1人から、「利用者は、たいてい、いつも同じ席に座るから、わかった人からメモして、おぼえていくとよいかもね」とのアドバイスを受け、早速、実行しました。
曜日ごとの座席表を作り、利用者の名前を記録する地道な作業でしたが、繰り返しメモを見ては、名前と顔を一致させるよう努力するうち、いつしか皆の名前がわかるようになり、これで、やっとスタートラインにたてたような気がしてホッとしました。
ホームヘルパーの講習時、「デイサービス」での実習も経験したのですが、実際、これほど多くの利用者の名前を覚えなくてはならないとは予想もしませんでした。実務経験が、とても大切なのだということを実感することができました。
